沖縄に旅行するのが好きで、一年の内に訪れることが何回かあったりする。
それはそれで周囲からは一風うらやましがられるし、ある程度なら自分にも優越感があるというものだ。
けれど実際に関東から沖縄へと移動を繰り返すと分けるけれど,けっこう大変になる。
何がといえば持ち物。
特に衣類がその対象の筆頭だ。
冬場なら関東ではけっこうな厚着にならないと寒さに負けて風邪を引いたり体調を崩す元となる。
ところが沖縄に飛んでみると、あれよあれよと薄着になる。
今までのジャケットとかセーターが完璧にお荷物になるわけだ。
だからといって、東京の羽田空港の中までの間だけでもちゃんと厚着をしなくてはならないから、いくら沖縄で無駄になるからと行って着込んでこなかったり持ち込まないわけにはいかない。
沖縄から本土へと帰ったときにまた寒さに見舞われるからだ。
けれどちょっと俯瞰すれば、こんな狭い日本の中でもこれほどに気候が分かるわけで、そういう思いをいたすと日本というのは狭いようで広い国だと言えるかもしれない。
ところで沖縄は県の面積もそんなに広くなく、47都道府県の面積の大きさ順で言ってしまうと下から数えた方が断然早い。
けれど、だからといって見所とか訪れたい場所が少ないわけでもない。
考えようによっては本土よりもスゴく魅力的な場所だってあるし、何より本土よりも南に位置しているので、海に行ったり泳いでみたいときには絶好の場所になる。
加えて沖縄の県全体を見ると、県を構成している島々の分布がとてつもなく広範囲であることが分かるのではないだろうか。
「琉球弧」といわれている島々の分布状態だが、その広さは本州全体の広さに匹敵するとも言われている。
そんなところに基本的には小さな島々が点在しているわけだ。
加えて古くから沖縄はそういう地域だったこともあって、島々で少しずつ異なった伝統や文化があったりする。
沖縄全体で他の県や地方と比較すれば、確かにいっしょくたにされてしまうけれど、なかなかどうして、たとえば沖縄本島と宮古島、そして石垣島とかの風習の違いを見るといろいろな違いに気づくことが多いと思う。
そのうちの一番筆頭が方言。
沖縄の方言全体で見ればひとまず沖縄本島の方言がトップで代表にされるわけだが、それに次ぐ沖縄諸島のメインな島である宮古島と石垣島とでは、3者でかなり異なった方言が聞かれたりすることになる。
もちろん今では沖縄の各市間島の若い人たちの間では日本の標準語がどこでも通用するしみんなで使う言葉となっているわけだけれど、一つ二つ世代をまたいで高齢者。
要するに沖縄方言で言う「おじー」「おばー」の世代またはその前の世代まで遡ってみればわかる。
本土の人間としてはちょっと信じがたいのだが、沖縄の若い世代が戸惑うのは自分たちの祖父祖母が使っている言葉。
これがなんと意味が全然分からない場合が少なくないという。
ただこの現象、考えてみれば分からなくもない。
沖縄は上述のとおり、島々が互いにかなりの距離を持って構成されている県になる。
その島同士の交流、物品の交換や経済的な交流となると、今日のように飛行機を使えれば話は別だが古い時代には船にたよるしかない。
このため島同士の連絡にはかなりの時間がかかるわけで、しかも古い時代だったら今よりももっと船舶のトラブルは深刻だったはずだ。
とりわけ沖縄を取り込んでいる東シナ海は荒れる海でも有名だし、歴史をたどれば飛鳥・奈良時代など船による大陸との往来は命がけだったわけで、歴史に見るとおり遣唐使で当時の中国王朝「唐」へ渡った阿倍仲麻呂は日本へと戻れず、ついに向こうで逝去。
唐の律宗の高僧だった鑑真和上も聖武天皇に請われて来朝を試みたところ幾度となく失敗。ようやく日本にたどり着いたもののその困難の中で視力まで失っている。
今でこそ猫も杓子もバカンス、リゾートとくると沖縄へと視線が向かって簡単にフライトで行き来できるわけだが、長年の島同士の交流の難しさは、特にこういった言葉の状況からしても何とはなしに感じ取れるかもしれない。
さてここでちょっとは端が大きく変わるけれど、そういう沖縄の事情と来ると、海に代表されるリゾート地の魅力とは言える。
確かに沖縄の海はエメラルドグリーンと指摘されるように非常に美しいのがスタンダードだ。
けれど日本本土やその他の地域だって美しさ、綺麗さでは負けない海、海岸線が山ほどある。
たとえば北海道の奥尻島など、その海の美しさは筆舌に尽くしがたいとも聞いている。
思うに、沖縄はその暖かな南国的ムードと相乗作用を引き起こして、他の地域よりもよりいっそう魅力的にイメージされるのかもしれない。
日本人は南国というイメージにより開放感や生命の輝きを見いだそうとする国民性のためでもある野か、私自身もそんな憧れを持つかもしれないから、結局のところ沖縄など南の方へ滞在の足が向いてしまうのである。
私は沖縄の他にも行ったことがある場所として、そういう「沖縄に引けを取らない観光地」として北海道を挙げてみたい。
広広とした大地の風景を誇る北海道は、確かに沖縄とは違った魅力がある。
今でもよくライダーたちがバイクにまたがって北海道を痩躯しているし、その中には北海道の各地でアルバイトをしながら長期的に巡っているライダーもいたりする。
なぜライダーたちが北海道を目指すのかというと、いや逆に沖縄ではあまりライダーが大挙してこないかというと、土地の広さが全く異なるためである野が大きい。
場所によっては地平線が見えるほどに広大な北海道の大地は、疾駆するバイクにとってこの上ない舞台になる。延々とまっすぐどこまでも長く伸びる一本道を心ゆくまで堪能できるのは北海道ならではの醍醐味になる。
悲しいかな沖縄ではこれができない。
たとえば沖縄の本島は確かに沖縄県内では一番大きな島になるが、それでも那覇の首里城に登ってみれば分かるとおり、長細いその島の東側の太平洋と西側の東シナ海が一望になる。
太平洋の海岸から東シナ海の海岸まで、普通の中型バイクでも1時間とかからないはずだ。
そうなるとちょっと走り慣れてしまうとバイクだったらすぐに面白みが失せてしまうだろう。沖縄はバイクでは狭すぎるのである。
他にもライダーにとって沖縄が鬼門になる要件がある。渡航費がそれだ。
ライダー本人、つまり人間一人なら飛行機で行くもよし、船でもよしだが、沖縄でバイクに乗ろうとしても自分のバイクをまさか航空便で自分と一緒に遅れるわけがない。
というわけで必然的に船便となるわけだが、これがまた高く付く。
金回りがよければ話は別だが、たとえば大学生が長期休暇を取りながらバイクを持参して行くとなれば金額もかさんでくる。
確かに世の中広くて、上は北海道から下は日本西端の与那国島まで走りきろうという野心満々の若年ライダーだって少なくない。けれどそれは「必ず日本一周するぞ」
「何が何でもこの島国を端から端までそうはしてやる」
というような、強固なマインドセットがあった場合だ。
日常的な仕事の息抜きとか、生活の疲れで癒やしを求めてとかいうレベルのリゾート感覚とは相当に差があるというしかないし、他にも滞在期間の長さを限定されてしまうなどという制約だってある。
でも、そんな様々な目的を持って沖縄に行ったとしても結局はベースとして観光気分があるのは間違いない。
加えて、冬場はそういうわけで服装の取り替えにはちょっと難儀になるけれど,それ以外の季節に行けば本土よりも一回り薄着でよいわけだから、基本的には荷物も楽になる。
ただ、私も沖縄の洋品店で面食らうけれど、沖縄独特の刺繍された半袖等を見る都度思うのはその値段だ。
観光客目当てなのかは知らない。実際にそういう服装を現地の人も普通に着こなしているからなんとも言えないのだが、いちいち値段がものすごく高くなってしまっている。
プレーンな柄でよいから、と思って安いのを買いたいと何度思っただろうか?
でも、スーパーマーケットの衣料品売り場も散々見たけれど思うような値段の品、言ってみれば本土で普通に売っている程度の値段のものがちょっと見当たらない。
これはこれで困るのだが。